木製?プラスチック?ジャケット用? 店舗用ハンガーの基本を解説。

2019/4/22

木製?プラスチック?ジャケット用? 店舗用ハンガーの基本を解説。

こんにちは、SHOP COPACKのデザイナー山田です。
今日はアパレルショップには欠かせない、店舗用ハンガーについて。
「素材」「用途」のふたつの視点から解説します。

ちなみに、実はSHOP COPACK(日本コパック株式会社)はもともとハンガーメーカーなんです。しかも創業60年の老舗。
名だたるアパレルブランドのハンガーを作ってきたベテラン社員たちがたくさんいます。そんな諸先輩方から教えこまれたハンガーについての知識。本来は門外不出のその情報を、勝手に流出します 笑

 


店舗用ハンガーの役割 

まず、店舗用ハンガーの役割とは何でしょうか?
アパレルショップにおいて、商品である洋服をきれいに陳列することです。

ハンガーは内装の一部であり、またお客様が手にとるものでもあります。
そのため、ブランドイメージを表現するデザイン性が求められます。

また、商品である洋服をきれいに見せなくてはなりません。
それには洋服のシワや型崩れを防ぐ、機能性が求められます。

そのため、店舗用ハンガーにはデザイン性と機能性の両方が必要なんです。

 

店舗用ハンガーの種類

アパレルショップで使われるハンガーの種類はとても多いです。それを分類するには、大きく2つの方向性を理解する必要があります。
1.素材(木、プラスチック、金属など)
2.用途(メンズ、ウィメンズ、キッズ、ジャケット、シャツなど)

素材はデザイン性に大きく関わりますし、用途によってハンガーの型を選ぶことで機能性が発揮されます。

この、素材と用途の組み合わせによって、たくさんの種類のハンガーが存在します。
例えば、木製のメンズシャツ用のハンガー、プラスチック製のウィメンズジャケット用ハンガー、というように。

さらにその種類それぞれで、様々な形状が作られます。その形状についてはまたかなり長くなるので、別の機会に書きますね。
この記事では、ハンガーの素材を紹介した後、用途ごとのハンガーの違いを解説します。

 

ハンガーの構造

素材の前に、基本的な店舗用ハンガーの構造を確認。上図のように3つのパーツが組み合わさっています。アンダーパーツは付いていないハンガーが多いですが。
次からいくつかのハンガーの素材を紹介していきますが、この記事では「本体」の素材について書いています。
ちなみにフックとアンダーパーツは、本体の素材を問わず金属でできているのが通常です。

 

ハンガーの素材

 

代表的なハンガーの素材三種です。
左から、木、プラスチック、金属。見たまんまです。
実際ほとんどのショップが、木製かプラスチック製どちらかのハンガーを使います。たまに金属製も見かけますね。
素材によって塗装や染色、メッキなど、できる仕上げも違うので、素材選びはハンガーのデザイン性に大きく影響します。

素材ごとの特徴については下で解説します。

 

木製ハンガーの特徴

木は店舗用ハンガーで最も一般的に使われている素材です。

メリット
・「木」の素材感
・塗装や染色など様々な仕上げが可能
・製造に金型を必要としないので、形状、サイズを細かく調整しやすい

デメリット
・木から削り出し、最後は人の手で磨き上げるため高価になりがち

つまり、木の素材感と多様な仕上げが木製ハンガーの特徴でしょう。

 

木の種類=樹種

木製ハンガーの素材として主に使われる樹種は主にふたつ。
ビーチ材(ブナ):適度な硬さで木目が美しいが高価
ロータス材:軽くて安価だが傷つきやすい

店舗で長く使う場合はビーチ材のハンガーをおすすめします。

 

プラスチック製ハンガーの特徴

プラスチックは木についで店舗用ハンガーとして使われることの多い素材です。

メリット
・低価格
・軽くて扱いやすい
・素材そのものに着色しているので、塗装製品に比べて表面の耐久性が強い

デメリット
・安っぽいイメージを与えかねない
・金型成形による大ロット生産なので、形状の調整が難しい

低価格で機能性に優れているのがプラスチック製ハンガーの特徴です。

 

金属製ハンガーの特徴

金属も根強い人気がある店舗用ハンガーの素材です。クリーニング用の金属ハンガーと違い、店舗用は立体的な形状や美しい仕上げを施したものが多いです。

 メリット
・金属の素材感
・ハンガーが目立ちにくい
・シャープな印象

デメリット
・丸みを作りづらいので、洋服へのアタリがやわらかくない

金属の素材感とシャープな印象が金属ハンガーの特徴です。

 

ハンガーの用途と型

ここからはハンガーの「用途」についてです。
ウィメンズジャケットハンガー、ボトムスハンガー、のようにハンガーにはそれぞれ用途があり、それに適した型(かたち)があります。
用途に適した型のハンガーを使うことで、洋服のシワや型崩れを防ぎ、きれいに見せることができます。
最初に書いた「機能性」を発揮するために、用途によって最適な型を使い分けるんです。

 


基本の5型

上の画像は基本の5つの用途=型を示しています。
1.ウィメンズジャケットハンガー
2.ウィメンズシャツハンガー
3.メンズジャケットハンガー
4.メンズシャツハンガー
5.ボトムスハンガー

実際、ウィメンズとメンズ両方の取り扱いがあるショップでは、この5型で展開することが基本です。

では用途によって違う型、どこが違うかを解説していきます。

 

ウィメンズとメンズの違い

ウィメンズとメンズ、大きな違いは肩幅です。ハンガー選びで最も重要なのはサイズ選び。サイズがあっていないとどんなにいいハンガーでも洋服をきれいにかけることはできません。
特に肩幅は最も重要。できればウィメンズの中でも7号、9号、11号と分けたいくらいです。それはコスト的にもオペレーション的にも現実的ではないので、メンズとウィメンズで分けるのが一般的です。

当店ではウィメンズは38cm、メンズが42cmに設定しています。洋服の平均よりやや小さめですが、それはより多くの服をかけるため。
基本的に服に対してハンガーが少しでも大きいとかなり不恰好になりシワになりやすいんです。反対に、少し小さいくらいだと違和感なくきれいに見えます。そのため平均の肩幅よりやや小さめで設定しています。
他にはウィメンズのシャツハンガーは肩の傾斜を落とし気味にしたり、微妙な形状の違いがあります。

 

ジャケットハンガーとシャツハンガー

ジャケットハンガーはジャケットやコート、ブルゾンなどのアウター用です。
シャツハンガーはシャツ、カットソーなど、薄手のトップス用です。

その違いは上図を見れば一目瞭然ですが、肩部分の厚みにあります。ジャケットハンガーは肩の部分に厚みを持たせていて、服の肩が型崩れしにくくなっています。また、角をとって丸みをつけているのでアタリがやわらかく、服にハンガーの角が出にくくなっています。
反対にシャツハンガーは肩に厚みをつけません。そのため省スペースになりひとつのラックにかけられる数が、ジャケットハンガーより多くなります。
他に袖がスルッと落ちてシャツの生地感を軽やかに見せられるという効果もあります。

ついでに共通のポイントとして上から見ると弓なりに湾曲している点が挙げられます。これは人の背中の丸みを現しています。ハンガーは背面のラインで服を支えていますが、この湾曲により人が着ているように立体感を持たせられるのです。

とにかく着数を多くかけたいというショップでは全てシャツ用ハンガーで、さらに湾曲もないフラットハンガーを使うケースもありますが、当店ではあまりおすすめしていません。

 






ボトムスハンガー

最後にボトムハンガーについて。代表的なものが上図の2タイプ。パンツ用とスカート用、という訳ではありません。どちらも共通で使えますし、どちらもクリップをスライドさせて幅を変えられます
違いは右のアンダークリップ式の方がより調整できる幅が大きいこと。とはいえ基本的には両方ともほとんどのボトムスに使えるので、デザインで選ばれることが多いようです。
その他クリップなしでかけるだけのバータイプや、裾全体を挟み込むタイプもありますが、当店では陳列した時にきれいで架け替えも簡単なクリップタイプをおすすめしています。 

 

じゃあどれを選べばいいの?

 

ハンガーを選ぶ基準は、あくまで「あなたのお店の」洋服をきれいに見せられるかどうか?です。
ただし、上述した基礎知識を「あなたのお店」に当てはめれば、それほど難しくないでしょう。